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アッラーへのいざない
1イスラームという教えの完全性
﴿ الدعوة إلى الله 1- كمال دين الإسلام ﴾
] 日本語– Japanese – ياباني [
ムハンマド・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジュリー
翻訳 : サイード佐藤
校閲 : ファーティマ佐藤
2009 - 1430
﴿ الدعوة إلى الله 1- كمال دين الإسلام ﴾
« باللغة اليابانية »
محمد بن إبراهيم التويجري
ترجمة: سعيد ساتو
مراجعة: فاطمة ساتو
2009 - 1430
アッラーへのいざない
1-イスラームという教えの完全性
● 宇宙の法則:
イスラームは、アッラーがそれでもって人類に栄誉を授けられたところの完全なる教えです。そしてイスラームによってこそ、現世と来世における人間の幸福が達成されるのです。
偉大かつ荘厳なるアッラーはこの宇宙を創造されました。そして全ての被造物に対し、それに則って動き、またそれによってアッラーのご意志が実現するところの、ある法則を定められました。全てのものには、アッラーのご命令によってのみしか変わることのないある一定の法則が存在するのです。
至高のアッラーは仰られました:-以前にも(同様に)過ぎて行ったアッラーの法則。そしてあなたは、アッラーの法則に改変を見出さないであろう。,(クルアーン48:23)
太陽にも、月にも、夜にも、朝にも、一定の法則があります。
そして植物にも、動物にも、風にも、水にも、惑星にも、海にも、山にも法則があるのです。
至高のアッラーはこう仰られました:-太陽は月と同ずることもなく、また夜が昼を追い抜かすこともない。そして全て(の現象)はある軌道のもとに流動するのである。,(クルアーン36:40)
● イスラーム的法則:
人間もまた、アッラーの被造物の中の1つです。そして現世と来世で幸福を勝ち得るために、あらゆる状況において一定の法則に則ることを必要としています。この法則こそがアッラーの宗教なのであり、アッラーはそれでもって人間を高貴なものとし、またそれが彼らの宗教であることをお悦びになりました。そしてアッラーは、それ以外の宗教をお受け入れにはならないのです。
人間が幸福であるか不幸であるかは、ひとえにこの教えを遵守するか、あるいは放棄するかということにかかっています。そして人間はそれを受容するか、または拒否するかという選択において、自由を与えられています。
1-至高のアッラーはこう仰られました:-そして言え、「これこそはあなた方の主からの真理である。アッラーがそう思し召しになる者は信仰させ、そう思し召しになる者は否定させるのだ。」,(クルアーン18:29)
2-至高のアッラーは仰られました:-われら(アッラーのこと)は言った:「あなた方は皆、そこ(楽園)から堕ちてしまえ。そしてわれの許からの導きがあなた方に訪れた時、われの導きに従う者には恐れも憂いもないであろう。そしてわれらのみしるしを信仰せず、それを嘘とする者たちは地獄の民なのである。彼らはそこに永遠に留まるのだ。」,(クルアーン2:38-39)
● 人類に対するアッラーの恩恵:
アッラーは人間をお創りになり、天地にある全ての物を彼らのために仕えさせました。また人間のために諸啓典を下し、諸使徒を遣わし、聴覚や視覚や理性といった知識獲得の手段を授けて下さいました。そして何ものをも並べることなく、アッラーのみを拝するという栄誉を与えて下さったのです。
1-至高のアッラーはこう仰られました:-あなた方は、アッラーが天地にあるあらゆる物をあなた方のために仕えさせたことを知らないのか?そしてかれがあなた方に対し、顕わにかつ密かにその恩恵の数々を授けられたことを。,(クルアーン31:20)
2-至高のアッラーは仰られました:-アッラーは、あなた方が何も知らない状態のまま、あなた方の母親のお腹から生まれ出でさせられた。それからかれはあなた方に、聴覚と視覚と心を備え付けられたのである。あなた方はきっと感謝するであろう。,(クルアーン16:78)
3-至高のアッラーは仰られました:-本当にわれら(アッラーのこと)は、各々の民に使徒を遣わして、「アッラーを崇拝し、ターグート[1]を避けなさい。」と命じた。,(クルアーン16:36)
● 最大の恩恵:
アッラーはそのしもべに、数え切れないほど沢山の恩恵を与えて下さいました。
その内の最たるものには存在の恩恵、授与の恩恵、そして導きの恩恵があるでしょう。
そしてこれらの中でも最も偉大かつ尊い恩恵こそが、それでもってムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)を全人類に遣わせられたところの、イスラームの教えなのです。
イスラームは完全かつ包括的、そして廃れることのない恒久的な教えです。
イスラームは:
-以下のような物事でもって、人間とその主の関係を正しい形に整えます:
① 人間のアッラーに対するイバーダ(崇拝行為)。
② タウヒード[2]。
③ かれに対する感謝。
④ 全ての物事において、かれを意図すること。
⑤ かれへの畏れ。
⑥ かれへのタワックル(全ての物事を委ねること)。
⑦ かれにへりくだること。
⑧ かれへの愛。
⑨ かれへのお近づきとなる行為。
⑩ かれにご援助を乞うこと。
⑪ かれのご満悦を希求すること。
⑫ かれに天国への道を求め、かれのお怒りと懲罰からの救いを望むこと。
-また以下のような物事でもって、人々とアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)との関係を正しい形に整えます:
① 彼に対する服従。
② 彼に対する愛。
③ 彼のスンナ[3]に従うこと。
④ 彼の携えて来たものを信じること。
⑤ 彼を模範とすること。
⑥ 彼が定めた以外の形において、アッラーを崇拝しないこと。
-また両親や配偶者、子供や親戚や隣人、学識豊かな者と乏しい者、ムスリムと非ムスリム、統治者と臣民などといった、人々の間の関係を正しい形に整えます:
-また合法な稼ぎや詐欺の禁止、売買行為における許しの精神や慈善的な施し、誠実さの追求やリバー[4]と嘘の禁止、サダカ(施し)や遺産相続の分配の仕方など、人間の経済活動を正しい形に整えます:
-またイスラームは夫婦生活と子供の教育、腐敗からの家庭の保護といった事柄を正しくします。そして順境と逆境、貧しさと豊かさ、また健康と病、平和と恐怖、定住状態と移動状態など、あらゆる状況においての男女の人生を秩序立ったものとするのです。
-またイスラームはその他の全ての関係を、アッラーゆえの愛憎という堅固な橋の上に築き上げます。また寛容さや気前の良さ、羞恥心や慎ましさ、誠実さや善行、公正さや慈善、慈悲深さや同情心といった高徳や美しい性質へといざないます。
-またイスラームはアッラーに対するシルク[5]や不当な殺人、嘘や高慢さ、偽善や盗み、ギーバ[6]や人の財産を偽って貪ること、リバーや飲酒、魔術や見栄など、あらゆる悪と腐敗、不正と不法行為を禁じます。
-そしてイスラームは上に挙げた全ての物事の上に、来世における人生を正しい形にします。来世での人生は、現世における人生に基礎付けられています。それで現世においてイーマーンと善行の徒であった者は天国に入り、崇高なる主との謁見という幸福を味わい、かつそこにおいて現世において見聞きすることも心に想像することも出来なかったような素晴らしい享楽で迎えられ、そこに永遠に留まります。一方現世において不信仰と不服従の徒であった者は地獄に入り、不信仰者はそこに永久に留まり、不服従の徒はその罪の度合いに応じてそこで罰せられるか、あるいはそれを赦免されるかします。
1-至高のアッラーはこう仰られました:-この日われはあなた方に対し、あなた方の宗教を完成させた。そしてあなた方への恩恵を全うし、イスラームがあなた方の宗教であることに満足した。,(クルアーン5:3)
2-至高のアッラーは仰られました:-実にアッラーは信仰者たちに恩恵を与えられた。(思い出すのだ、)かれは彼らのもとへ、彼ら自身の中からそのみしるしを読み聞かせ、彼らを(不信仰から)清め、啓典とスンナ[7]を教示する1人の使徒を遣わされたではないか。そして実にそれ以前、彼らは明白な迷妄の中にあったのだ。,(クルアーン3:164)
3-至高のアッラーは仰られました:-実にアッラーの御許からあなた方のもとに、光と明白なる啓典がもたらされた。アッラーはそれでもってかれのご満悦を追い求める者を平安の道へと導き、そのお許しのもとに彼らを暗黒から光へと救い出され、そして真っ直ぐな道へとお導きになるのである。,(クルアーン5:15-16)
4-至高のアッラーは仰られました:-そしてアッラーとその使徒に従う者は、(アッラーが)彼をその下を河川の流れる楽園に入れよう。彼らはそこに永遠に留まるのだ。これこそはこの上ない勝利である。そしてアッラーとその使徒に逆らい、かれ(アッラー)が定められた(法の)境界線を越える者は、(アッラーが)彼を地獄に入れよう。彼はそこに永遠に留まり、そこでは屈辱的な懲罰が繰り広げられるのだ。,(クルアーン4:13-14)
● イスラームは昼夜の及ぶあらゆる場所へと伝播し、その後にそれが始まった時のような希少なものへと舞い戻る:
1-サウバーン(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「実にアッラーは私のために大地を収縮させて下さり、(それによって)私はその東西の果てまで目の当たりにした。実に私のウンマ(共同体)の王権は、私のために収縮された大地の隅々にまで行き渡るであろう…。」(ムスリムの伝承[8])
2-タミーム・アッ=ダーリー(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「この事(イスラーム)は必ずや、昼夜の及ぶあらゆる場所へと伝播するのだ。アッラーは土壁の住居だろうがフェルトの住居[9]だろうが、一軒たりともこの宗教を到達させずにはおかないであろう。そしてアッラーは(そうすることで)威光高き者に威光を授け、惨めな者には屈辱を与えられる。つまりアッラーはイスラームでもって(人に)栄光を与え、また不信仰者には屈辱を与えられるのである。」(アフマドとアル=ハーキムの伝承[10])
3-イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「実にイスラームは希少なものとして始まり、そして始まった時のような希少さへとまた舞い戻る。それはちょうど蛇がその巣の中に戻るように、2つのモスク[11]の間へと戻るのだ。」(ムスリムとアフマドの伝承[12])
尚アフマドの伝承の中には、上記の「そして始まった時のような希少さへとまた舞い戻る」の後に、「希少な者たちに、天国のよき報奨があらんことを」とあり、そして次のように続きます:「ある者が言いました:“希少な者たちとは、誰のことなのですか?"(預言者は)言いました:“(災いの多い)民から身を引く者のことである。"」
● 成功と救いの道:
アッラーは私たちのために宗教を完全なものとされ、またそれでもって恩恵を完遂され、イスラームを私たちの宗教とすることにご満足されました。
ゆえにそれを受け入れた者は現世では幸福を手に入れ、審判の日には天国に入ります。一方それに背を向ける者は現世では不幸になり、審判の日には地獄に入ります。そしてアッラーは、イスラーム以外の宗教をお受け入れになることはありません。
1-至高のアッラーは仰られました:-この日われはあなた方に対し、あなた方の宗教を完成させた。そしてあなた方への恩恵を全うし、イスラームがあなた方の宗教であることに満足した。,(クルアーン5:3)
2-至高のアッラーは仰られました:-そしてイスラーム以外のものを宗教として望む者は、決してそれを受け入れられない。そして彼は来世においては損失者の類いなのである。,(クルアーン3:85)
3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“ムハンマドの魂がその御手に委ねられているお方にかけて。このウンマ(共同体)の内のユダヤ教徒でもキリスト教徒でも、私の携えて来たもの(啓示)を耳にした者でそれを信仰しないまま死んだ者は、例外なく地獄の徒となるのだ。"」(ムスリムの伝承[13])
[1] 訳者注:「ターグート」はアッラー以外に崇拝されるあらゆるものを指します。
[2] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章の項を参照のこと。
[3] 訳者注:預言者ムハンマド(彼にアッラーの祝福と平安あれ)の示した手法や道のこと。ムスリムは可能な限り、彼のスンナを踏襲するべきであるとされています。
[4] 訳者注:詳しくは「ムアーマラート」の章の「④リバー」の項を参照のこと。
[5] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章の「シルクとシルクの種類」の項を参照のこと。
[6] 訳者注:「ギーバ」とはその内容の真偽に関わらず、その当人が言及されることを厭うようなことをその陰で話すことを意味します。
[7] 訳者注:預言者ムハンマド(彼にアッラーの祝福と平安あれ)の示した手法や道のこと。ムスリムは可能な限り、彼のスンナを踏襲するべきであるとされています。
[8] サヒーフ・ムスリム(2889)。
[9] 訳者注:つまり町や村のような居住地域でも、放牧地のような非居住地域でも、いかなる場所においてもイスラームは伝播する、ということ。
[10] 真正な伝承。ムスナド・アフマド(17082)、ムスタドゥラク・アル=ハーキム(8326)。文章はアフマドのもの。アッ=スィルスィラト・アッ=サヒーハ(3)参照のこと。
[11] 訳者注:マッカのハラーム・モスクと、マディーナの預言者モスクのこと。。
[12] サヒーフ・ムスリム(146)、ムスナド・アフマド(3784)。文章はムスリムのもの。アル=アルナウートは、この伝承の伝承経路が真正であると判定しています。
[13] サヒーフ・ムスリム(153)。